ワクチンの普及なくしてオリンピックの開催は不可能

MAプラットフォーム、森章会長に聞く(1)

ワクチンの普及なくしてオリンピックの開催は不可能
MAプラットフォーム、森章会長に聞く(1)

デジタル化の加速とそれに伴う「業界」の消滅、米中摩擦を背景にした地政学上の変化など、今は数年先を見通すことも難しい時代です。その中にあって、一流の経営者や専門家は寸暇を惜しんで情報を集め、思索し、仮説検証を繰り返す中で来たるべき未来に対応しようとしています。
建設プロジェクトマネジメントや社会インフラPPP(官民連携)など、新しい市場を切り開いてきた植村が、それぞれの業界でトップを張る人々との対話を通して、建設・不動産業界のみならず日本経済や世界経済の未来、言い換えれば、暗闇の中にある一筋の光を見いだしていきます。
今回はMAプラットフォームの森章会長(森トラスト会長でもある)に話を聞きました。
※取材は11月24日

デジタル化の加速とそれに伴う「業界」の消滅、米中摩擦を背景にした地政学上の変化など、今は数年先を見通すことも難しい時代です。その中にあって、一流の経営者や専門家は寸暇を惜しんで情報を集め、思索し、仮説検証を繰り返す中で来たるべき未来に対応しようとしています。
建設プロジェクトマネジメントや社会インフラPPP(官民連携)など、新しい市場を切り開いてきた植村が、それぞれの業界でトップを張る人々との対話を通して、建設・不動産業界のみならず日本経済や世界経済の未来、言い換えれば、暗闇の中にある一筋の光を見いだしていきます。
今回はMAプラットフォームの森章会長(森トラスト会長でもある)に話を聞きました。
※取材は11月24日

──本日はご多忙のところ、お時間をいただきありがとうございます。足元の経営環境を見れば、米中対立やデジタル化の加速、コロナ禍など不透明感が高まっており、先を見通すのも難しい時代です。その中にあって、一流の経営者が何を考えているのか。それを対話の中で聞き出すというのが今回のインタビューの目的です。今日はいろいろとお聞きするのでどうぞよろしくお願いいたします。

森章会長(以下、森):どこまでお役に立てるか分かりませんが、よろしくお願いいたします。

(写真:村田和聡、以下同)

ワクチンの普及なくしてオリンピックは不可能

──まず、新型コロナウイルスの感染拡大が経済や企業経営に与える影響をどう見ているか、というところからお聞かせください。

森:現在は第3波のまっただ中ですが、なかなか収まりそうにありませんね。私は「Go To トラベル」や「Go To イート」といった妙なキャンペーンにお金を使うより、医療関係にお金を使った方がいいと思っています。まさに目の当たりにしたことですが、経済を重視すれば感染者数は増加します。Go To キャンペーンをしないことによる経済的な損失と、感染者数の増加に伴う医療体制の逼迫、医療崩壊の経済的影響を比較すれば、マクロでは後者の影響の方が大きいでしょう。少なくとも、ワクチンが行き渡るまでの間は妙なことはやらず、医療崩壊を防ぐ方に重点を置くべきだと思います。
オリンピックについても同じことが言えます。
オリンピックについては政治的な問題が絡み合って、やめるにやめられない状態です。民主主義国家とはいうものの、日本の民主主義は少数意見に引きずられる傾向があります。ロックダウンのような強制力を持ったやり方で感染を抑制することもできませんから、結局はワクチン以外に解決策がありません。2021年3月頃までにワクチンがある程度、行き渡ればオリンピックを開催できるでしょうし、間に合わなければできない。そういう話だと思います。有力選手も怖くて来られないでしょうし、緊張状態にある選手村の中の統制も取れるかどうか。とにかく、オリンピックを政治利用しないことです。

ワクチンの普及なくしてオリンピックは不可能

ワクチンの普及なくしてオリンピックは不可能

──まず、新型コロナウイルスの感染拡大が経済や企業経営に与える影響をどう見ているか、というところからお聞かせください。

森:現在は第3波のまっただ中ですが、なかなか収まりそうにありませんね。私は「Go To トラベル」や「Go To イート」といった妙なキャンペーンにお金を使うより、医療関係にお金を使った方がいいと思っています。まさに目の当たりにしたことですが、経済を重視すれば感染者数は増加します。Go To キャンペーンをしないことによる経済的な損失と、感染者数の増加に伴う医療体制の逼迫、医療崩壊の経済的影響を比較すれば、マクロでは後者の影響の方が大きいでしょう。少なくとも、ワクチンが行き渡るまでの間は妙なことはやらず、医療崩壊を防ぐ方に重点を置くべきだと思います。
オリンピックについても同じことが言えます。
オリンピックについては政治的な問題が絡み合って、やめるにやめられない状態です。民主主義国家とはいうものの、日本の民主主義は少数意見に引きずられる傾向があります。ロックダウンのような強制力を持ったやり方で感染を抑制することもできませんから、結局はワクチン以外に解決策がありません。2021年3月頃までにワクチンがある程度、行き渡ればオリンピックを開催できるでしょうし、間に合わなければできない。そういう話だと思います。有力選手も怖くて来られないでしょうし、緊張状態にある選手村の中の統制も取れるかどうか。とにかく、オリンピックを政治利用しないことです。

実は旅行消費額の8割は国内旅行

──コロナ禍によって訪日外国人が激減しています。インバウンドの落ち込みについてはいかがでしょうか。

森:インバウンドは2019年が最高でしたが、実は国内の旅行消費額を見れば、インバウンド比率は2割に満たない。つまり国内旅行が8割を占めているということです。もちろん、インバウンド需要はほぼ蒸発してしまったので、海外からの飛行機需要やホテルなどインバウンドに関わる事業者は大変な影響を受けています。ただ、コロナ問題が片付けば、インバウンドは自然に回復していくでしょう。逆に、2割に満たないインバウンド需要を意識するあまり、適切な感染対策をせずに海外旅行者を受け入れるということはすべきではありません。

──ワクチンが普及すれば、観光業などは元に戻ると考えていいのでしょうか。

森:時間の問題ですが、元に戻ると思います。コロナ以前に人の移動が容易になっていたことを考えると、むしろコロナ後の方が人の移動は増えるのではないでしょうか。人の移動が増えれば、それに伴って観光業も復活するでしょう。

実は旅行消費額の8割は国内旅行

実は旅行消費額の8割は国内旅行

──コロナ禍によって訪日外国人が激減しています。インバウンドの落ち込みについてはいかがでしょうか。

森:インバウンドは2019年が最高でしたが、実は国内の旅行消費額を見れば、インバウンド比率は2割に満たない。つまり国内旅行が8割を占めているということです。もちろん、インバウンド需要はほぼ蒸発してしまったので、海外からの飛行機需要やホテルなどインバウンドに関わる事業者は大変な影響を受けています。ただ、コロナ問題が片付けば、インバウンドは自然に回復していくでしょう。逆に、2割に満たないインバウンド需要を意識するあまり、適切な感染対策をせずに海外旅行者を受け入れるということはすべきではありません。

──ワクチンが普及すれば、観光業などは元に戻ると考えていいのでしょうか。

森:時間の問題ですが、元に戻ると思います。コロナ以前に人の移動が容易になっていたことを考えると、むしろコロナ後の方が人の移動は増えるのではないでしょうか。人の移動が増えれば、それに伴って観光業も復活するでしょう。

都心部のオフィスビル事業は将来も安泰

──これまで、ビジネスパーソンは都心のオフィスで働くことが当たり前でしたが、コロナの感染拡大によってリモートワークも広がりました。これは、都心のオフィスビル市場にとってはネガティブなインパクトだと思います。今後、オフィスビル市場についてはどう見ているでしょうか。

森:オフィスビルを建てる場合、一番高いのは借金の利払い、つまり金利です。東京の都心部のように地価の高いところにビルを建てる場合、賃料収入だけで投資をするのは難しいので借り入れが増えます。成長すればするほど借金が増えるので、多くのデベロッパーは借金体質になる。ところが、今は最もコストがかかる金利がタダみたいなものですからね。今後、リモートワークの進展や5Gの活用など、オフィスのあり方は大きく変わるでしょう。ただ、どう変わろうとも、金利コストが大したことないのでどうにでもできる。
働き方の変化に合わせて自ら需要をつくり出すのか、別の需要が出てきた時に対応するのかなどやり方はいろいろあると思いますが、デベロッパーとしてオフィスについては何も心配していません。仮に金利が上がっても、金利が上がる時は基本的に景気がいいわけですから、オフィス需要にはポジティブです。(続く)

都心部のオフィスビル事業は将来も安泰

都心部のオフィスビル事業は将来も安泰

──これまで、ビジネスパーソンは都心のオフィスで働くことが当たり前でしたが、コロナの感染拡大によってリモートワークも広がりました。これは、都心のオフィスビル市場にとってはネガティブなインパクトだと思います。今後、オフィスビル市場についてはどう見ているでしょうか。

森:オフィスビルを建てる場合、一番高いのは借金の利払い、つまり金利です。東京の都心部のように地価の高いところにビルを建てる場合、賃料収入だけで投資をするのは難しいので借り入れが増えます。成長すればするほど借金が増えるので、多くのデベロッパーは借金体質になる。ところが、今は最もコストがかかる金利がタダみたいなものですからね。今後、リモートワークの進展や5Gの活用など、オフィスのあり方は大きく変わるでしょう。ただ、どう変わろうとも、金利コストが大したことないのでどうにでもできる。
働き方の変化に合わせて自ら需要をつくり出すのか、別の需要が出てきた時に対応するのかなどやり方はいろいろあると思いますが、デベロッパーとしてオフィスについては何も心配していません。仮に金利が上がっても、金利が上がる時は基本的に景気がいいわけですから、オフィス需要にはポジティブです。(続く)