日本経済の再興はCO2排出削減にかかっている

MAプラットフォーム、森章会長に聞く(2)

日本経済の再興はCO2排出削減にかかっている
MAプラットフォーム、森章会長に聞く(2)
(全写真:村田和聡)

──森会長は投資家としても著名です。今後、注目している成長分野はありますか?

森:それはもう圧倒的に気候変動対策、CO2の排出削減です。日本は2050年までにCO2排出量の実質ゼロを表明しました。国際公約ですから、政府は実質ゼロを目指して国内投資を加速するでしょう。これは日本にとってはプラス材料です。これからの日本には、これしか楽しみがないのではないか、とさえ思います。
産業革命以降、日本は工場や設備などの製造業に投資してきました。こういった第二次産業は設備投資額が大きく、それによって国内経済が拡大しました。ところが、AI(人工知能)をはじめとした最近の情報革命は製造業とも言えるし、サービス産業とも言える、いわば第2.5次産業です。そして、基本的にソフトウェアの世界なので設備投資額が大きくありません。
それに対して、CO2削減は国内での設備投資です。再生可能エネルギーや蓄電池などへの投資は膨大な金額になるでしょう。日本はもの作りが重視されますが、製造拠点の海外流出が続いており、設備投資という面ではかつてのような貢献度ではありません。1990年代初頭のバブル崩壊以来、30年ぶりの大規模設備投資ですから、日本経済にとっては千載一遇のチャンスだと思います。

──森会長は投資家としても著名です。今後、注目している成長分野はありますか?

森:それはもう圧倒的に気候変動対策、CO2の排出削減です。日本は2050年までにCO2排出量の実質ゼロを表明しました。国際公約ですから、政府は実質ゼロを目指して国内投資を加速するでしょう。これは日本にとってはプラス材料です。これからの日本には、これしか楽しみがないのではないか、とさえ思います。
産業革命以降、日本は工場や設備などの製造業に投資してきました。こういった第二次産業は設備投資額が大きく、それによって国内経済が拡大しました。ところが、AI(人工知能)をはじめとした最近の情報革命は製造業とも言えるし、サービス産業とも言える、いわば第2.5次産業です。そして、基本的にソフトウェアの世界なので設備投資額が大きくありません。
それに対して、CO2削減は国内での設備投資です。再生可能エネルギーや蓄電池などへの投資は膨大な金額になるでしょう。日本はもの作りが重視されますが、製造拠点の海外流出が続いており、設備投資という面ではかつてのような貢献度ではありません。1990年代初頭のバブル崩壊以来、30年ぶりの大規模設備投資ですから、日本経済にとっては千載一遇のチャンスだと思います。

過剰になればなるほど新規供給が必要

過剰になればなるほど新規供給が必要

──建設・不動産という視点で見ても、CO2の排出削減を進めたCO2ゼロのオフィスビルを建てれば、経済の活性化につながります。企業もSDGsにつながるようなビルであれば、賃料が高くても借りるでしょう。

森:その通りです。ホテルにも言えますが、リモートワークの進展もあり、これからオフィスビルは過剰になるでしょう。過剰になれば、新しいビルほど競争力が上がる。デベロッパーとしては、過剰になればなるほど新しいビルを供給しなければならないということです。ホテルも同様で、過剰になるのであれば、競争力の高いホテルを造らなければ負け組になってしまう。過剰が新陳代謝を生むわけです。
そもそもコロナ以前から、テクノロジーの進化に伴う情報革命によってオフィスのあり方が変わりつつありました。その変化がコロナによって加速しています。そこに来て、CO2削減というエネルギーの問題が出たことで、CO2削減に資するビルが必要になってきた。ビル自身がエネルギーを生成し、電力会社と連携しながら安定供給を実現する。そういったビルが増えるのではないでしょうか。

石炭のCO2排出ゼロを実現する技術を

──気候変動対策の他に、注目している分野はありますか?

森:エネルギーに関して言えば、矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、「石炭」に注目しています。

──石炭ですか?

森:今はCO2排出の根源として石炭が悪玉になっています。ただ、石炭は比較的手に入れやすいエネルギー源です。石炭から生じるCO2を液状化して地中深くに埋める、CO2を回収して別の何かに分解するなどして、石炭から出るCO2をゼロにできれば、資源の少ない日本にとって大きなメリットではないでしょうか。今はお金が余っていますから、石炭の実質CO2ゼロを実現しうるスタートアップもたくさん登場するでしょう。

石炭のCO2排出ゼロを実現する技術を

石炭のCO2排出ゼロを実現する技術を

──気候変動対策の他に、注目している分野はありますか?

森:エネルギーに関して言えば、矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、「石炭」に注目しています。

──石炭ですか?

森:今はCO2排出の根源として石炭が悪玉になっています。ただ、石炭は比較的手に入れやすいエネルギー源です。石炭から生じるCO2を液状化して地中深くに埋める、CO2を回収して別の何かに分解するなどして、石炭から出るCO2をゼロにできれば、資源の少ない日本にとって大きなメリットではないでしょうか。今はお金が余っていますから、石炭の実質CO2ゼロを実現しうるスタートアップもたくさん登場するでしょう。

もう一つは農業ですね。世界では食糧不足が叫ばれていますが、日本はどちらかというと余っていますよね。また、オランダが植物工場によって野菜の輸出国になっていますが、日本もそういった工場化は得意でしょう。今の農業という概念を取っ払って集約化すれば、日本も輸出国になれるかもしれない。今後の魅力を感じるのはCO2の削減と農業革命ですね。

もう一つは農業ですね。世界では食糧不足が叫ばれていますが、日本はどちらかというと余っていますよね。また、オランダが植物工場によって野菜の輸出国になっていますが、日本もそういった工場化は得意でしょう。今の農業という概念を取っ払って集約化すれば、日本も輸出国になれるかもしれない。今後の魅力を感じるのはCO2の削減と農業革命ですね。

また、投資からは少し離れますが、格差をどう解消するかという点にも関心を持っています。既に情報産業が経済成長を牽引していますが、情報産業は回転が早く、情報産業にキャッチアップできるかどうかで格差がついてしまいます。それを防ぐには、教育や医療、年金などの提供を通して所得を再分配していく必要があります。
ただ、今のように格差がついてしまうと、なかなか機会均等にはできません。特に、教育は教育機関によって教育の内容が異なり、先進的な学校はカリキュラムや教え方、設備などさまざまな面でどんどん進化していきます。そういう学校は往々にして教育費が高いですから、お金のあるなしで差がついてしまう。これはもう、本人の地頭だけではどうにもならない問題です。その格差が親から子へと固定化すれば、それは階級です。質の高い教育を、誰もが受けられる体制にしなければなりません。(続く)

また、投資からは少し離れますが、格差をどう解消するかという点にも関心を持っています。既に情報産業が経済成長を牽引していますが、情報産業は回転が早く、情報産業にキャッチアップできるかどうかで格差がついてしまいます。それを防ぐには、教育や医療、年金などの提供を通して所得を再分配していく必要があります。
ただ、今のように格差がついてしまうと、なかなか機会均等にはできません。特に、教育は教育機関によって教育の内容が異なり、先進的な学校はカリキュラムや教え方、設備などさまざまな面でどんどん進化していきます。そういう学校は往々にして教育費が高いですから、お金のあるなしで差がついてしまう。これはもう、本人の地頭だけではどうにもならない問題です。その格差が親から子へと固定化すれば、それは階級です。質の高い教育を、誰もが受けられる体制にしなければなりません。(続く)